沖縄方言(うちなー口)の早分り法!訛りの法則

2017年4月28日

沖縄方言

沖縄では沖縄方言のことを「沖縄口(うちなー口)」と言いいます。離島の言葉を指す場合は島言葉(島くとぅば)」とも言いますが、最近では「うちなー口」と同じ意味で使われることが多くなっています。

初めて沖縄の方言を聞くと、意味が“ちんぷんかんぷん”で外国語みたいだと感じる方もいるかもしれません。しかし、沖縄方言はれっきとした日本語です。 実は、「うちなー口」は『古語の缶詰』といわれるほど平安時代、鎌倉時代の古い言葉が多く残っています。本土でも関西、四国、九州地方では比較的に古い言葉が残っているのですが、沖縄の場合は『古語』が転訛していますので分かりにくくなっているのです。

でも安心してください、「うちなー口」の訛りには規則性があり、その『発音の変化法則』を理解することで、ずっと分かりやすくなります。関西、四国、九州出身の方は、故郷の方言を思い出しながら沖縄方言を考えてみると意外な接点が見えてくるかもしれませんよ。

それでは、以下に「うちなー口」の転訛法則をご紹介します。

母音変化と古語の訛り

「うぃなぐ、できたんどー。やがてぃ、にーびち・するはじどー。

「彼女できたよ。もうすぐ、結婚するはずだよ。」という意味です。

標準語

沖縄方言(うちなー口)

彼女(おなご)

うぃなぐ

できたよ(できたんぞー)

できたんどー

もうすぐ(やがて)

やがてぃ

結婚(根引き)

にーびち

するはずだ(するはずぞ)

するはじどー

母音の変化

「おなご」の『お』は『うぃ』に、『ご』は『ぐ』に変化しています。

これが「沖縄方言の母音変化」で、母音の『お(O)』は『う(U)』に変化し、『え(E)』は『い(I)』に変化します。 『お』は、地域によっては、『う』になったり『うぃ』になったりします。

「できたんど」の『ど(do)』は『ぞ(zo)』からの変化です。(※『ぞ(ZO)』が『ど(DO)』に変化) ちなみに、「できたんぞー」という言い方は現在の四国方言と同じですね。

「やがて」の『て(TE)』は、母音(E)が(I)に変化しますので『てぃ(TI)』に変化します。

「結婚」は、故郷(根)から嫁をめとる習慣から来た「根引き(ねびき)」という言葉が「にーびち」 に 変化しています。
「ねびき」の『ね』の母音(E)が(I)に変化しますので『に』になり、
「ねびき」の『き(KI)』は『ち(TI)』に変わります。(※『き』から『ち』への変化形

最後の「はずぞ(hazuzo)」は、(hazuzo)の『ず(zu)』は母音変化で『じ(ZI)』に変わり、『ぞ(ZO)』は『ど(DO)』に変化し、「はじど(hazido)」になります。(※『ぞ(ZO)』が『ど(DO)』に変化)

このように、沖縄方言の多くは『語源』が分かれば転訛法則で簡単に理解できるという特徴があります。転訛法則は『母音変化』と『その他の変化』の二グループに分けることができ、その発音を理解するには“ひらがな”よりも、ローマ字で表記した方が音の変化が分かりやすいのです。

母音変化

標準語

沖縄方言(うちなー口)

例外形

『え(E)』

『い(I)』

『お(O)』

『う(U)』

例外形1:『の(NO)』が『ん(N)』に変化する。

例外形2:『と(TO)』が『TYU』に変化する。

例外形3:「お(O)」が『あ(A)』になる。

『つ(TU)』

『ち(TI)』、『ちゅ(TIU)』

『ず(ZU)』

『じ(ZI)』

母音変化の例外形

次の文は、沖縄方言の転訛法則の多くが含まれている代表的な事例です。

「沖縄の人(okinawa no hito)」→「うちなーんちゅ(utina nn tyu)」

例外形1:前に『あ(A)』、『う(U)』がある『の(NO)』は『ん(N)』に変化する

「沖縄の(okinawa no)」→「うちなーん(utina-n)」

母音の基本変化形で(oki)の『お(o)』が『う(u)』に変化します。
(oki)の『き(ki)』は『ち(ti)』に変化します。(『き』から『ち』への変化形
そして、(okinawa)の『わ(wa)』が『あ(a)』に変化します。(※『わ(wa)』の前に『あ(A)』があると(w)が消える変化形
(okinawa no)の(no)は、基本の変化形では(nu)となりますが、前に母音の『あ(A)』がありますので、例外形1で『の(no)』は『ん(n)』に変化します。

「狂れ者(furemono)」→「ふりむん(furimun)」

母音の基本変化形で(furemono)の『ふれも(furemo)』が『ふりむ(furimu)』に変化します。
(furemono)の(no)は、前に『む(mu)』(母音の『う(U)』)がありますので例外形1の変化で『ん(nn)』になります。

例外形2:末尾の「と(TO)」は『TYU』に変化する

例:人(hito)→(hitu)→(hi)tyu
まず、『ひと(hito)』の『hi』が無くなります(『は行』の省略形
そして『ひと(hito)』の『to』は、『つ(tu)』から『ちゅ(tiu)』に変化しています。これが母音変化の例外形2で、末尾の『と(TO)』は『ちゅ(tiu)』に変化することが多いのです。

これは余談ですが、1800年(嘉慶5)に来沖した冊封使の李鼎元(りていげん)によって書かれた「使琉球記」には当時の沖縄方言の発音が記録されています。それによると『人』の発音を漢字で『人(hizhou)』と読める書き方がされています。つまり、沖縄方言で『は行』が省略されるようになったのは19世紀以後のことなのです。

例外形3:気持ちよく発声する場合『お(O)』は『あ(A)ー』に変化する

「超健康=超頑丈(tyo-ganjyo)」→「(tya-ganjyu) 」

気持ち良く『ちょー(tyoー)』と発声しているので、母音『お(O)』が『あ(A)ー』に変化して『ちゃー(tya-)』になります。
『がんじょう(ganjyo)』は、母音変化の基本形(母音『お(O)』が『う(U)ー』に変化)どおり『がんじゅう(ganjyu)』になります。

『つ(TU)』は『ち(TI)』に変化する。

代表的なものは数の数え方です。

『ひとーつ(hito-tu)』→『てぃーち(tu-ti)→(ti-ti)』
『ふたーつ(huta-tu)』→『たーち(ta-ti)』
『みーつ(mi-tu)』→『みーち(mi-ti)』

は行の省略形で『ひとーつ』が『とーつ』になり、母音の基本変化で『とーつ(to-tu)』が『とぅーち(tu-ti)』となり、
『つ(TU)』が『ち(TI)』に変化で『とぅーち(tu-ti)』が 『てぃーち(ti-ti)』に変化しています。
※は行の省略形を参照

その他の変化形

P→F→Hの変化

転訛を考えるうえで気を付ける点は、平安時代や鎌倉時代の古語の発音が現在の標準語と同じ発音なのかということです。

例えば、『日本』の発音は(nihon)ではなく(nipon)だったと考えられています。
『にほん』の『ほ』の音は『にぽん(nipon)』→『にふぉん(nifon)』→『にほん(nihon)』とP→F→Hの変化で現在の『にほん』という発音になっています。

沖縄の『那覇』という言葉も、『なぱ(napa)』→『なふぁ(nafa)』→『なは(naha)』のP→F→Hの順に変化して現在の発音『なは(naha)』になっており、今も沖縄本島の北部では『なふぁ(nafa)』と発音することがあります。

それでは、「ありがとう」を意味する『にふぇーでびる (nife-debiru)』の元の発音はどうでしょうか。『にふぇー』は『二拝(nihai)』ではなく『二拝(nifai)』からの母音変化となり、『二拝(nifei)』となり、二重母音の統合で『二拝(nife)』になっています。

このように転訛する前の音が『P→F→H』のどの段階だったのかと考える事で、より転訛法則が分かりやすくなります。

 

その他の変化

標準語

沖縄方言(うちなー口)

説明

~ぞ(ZO)

~ど(DO)

『ぞ(ZO)』は『ど(DO)』に変化。
はずぞ(hazuzo)→はじど(hazido)

か行(K)

た行(T)

『か行』から『た行』への変化。
ほとんどが『き(KI)』から『ち(TI)』への変化形。

は行(H)

は行が消える

『は行(H)』の省略。
特殊な形として、は行の母音が残り、前の音の母音になることもある。

に(NI)

ん(N)

『に(NI)』が『ん(N)』になる。

の(NO)

ん(N)

『の(NO)』が『ん(N)』になる。

わ(WA)

あ(A)

前の母音が『あ(A)』の場合、『わ(WA)』のWが消えて『あ(A)』になる。

『り(RI)』

『い(I)』

『り(RI)』が『い(I)』になる。
山登り (yama nobori)→(yama nubui)

『は行』、『さ行』など同じ音の連続

音が一つになる。

連続音の統合。

『あえ(AE)』など母音の連続

『え(E)』に統合

二重母音の統合。
(men sorae→men soree→men sore)
通常、母音『え(E)』に統合される。

『き(KI)』から『ち(TI)』への変化形(『か行』から『た行』への変化)

肝(kimo dondon)どんどん→ちむどんどん(timu dondon)
※心臓がどんどん鳴る(心臓がどきどきする)の意味

『きも(kimo)』の『き(ki)』が『ち(ti)』に変化しています。これも母音変化と同じく沖縄方言の代表的な転訛法則です。『きも(kimo)』の『も(mo)』は母音変化で『む(mu)』に変化しました。 『どんどん(don don)』の母音『お(O)』は擬音語なので変化しません。

ただ、『き(KI)』から『ち(TI)』への変化は、地域によっては変化しないこともあります。
例えば、現代版組踊り「肝高の阿麻和利」の舞台となっているうるま市(勝連)では『肝高(kimu taka)』と読み、母音変化(kimo→kimu)だけで『き(KI)』から『ち(TI)』への変化はありません。

は行の省略形

下の表は、沖縄方言による数の数え方で、『は行の省略形』の事例です。

「ひとーつ」は、は行の(hi)が省略され、『と(to)から』母音変化後の『つ(tu)』になり、更に『つ(TU)』から『ち(TI)』に変化で『てぃ(ti)』に転訛しています。末尾の『つ(tu)』も『ち(ti)』に転訛しています。

「ふたーつ」も、は行の(hu)が省略されています。末尾の『つ(TU)』も『ち(TI)』に転訛しています。

その他は、『お(O)』から『う(U)』への母音変化と『つ(TU)』が『ち(TI)』への転訛法則どおりになっています。

数の数え方

標準語

沖縄方言(うちなー口)

ひとーつ(hito-tu)

てぃーち(tu-ti)→(ti-ti)

ふたーつ(huta-tu)

たーち(ta-ti)

みーつ(mi-tu)

みーち(mi-ti)

よーつ(yo-tu)

ゆーち(yu-ti)

いつつ(itutu)

いちち(ititi)

むーつ(mu-tu)

むーち(mu-ti)

ななつ(nanatu)

ななち(nanati)

やっつ(ya-tu)

やーち(ya-ti)

ここのつ(kokonotu)

くくぬち(kukunuti)

とー(to-)

とぅー(tu)

『に(NI)』が『ん(N)』に変化

『北谷(kita tani)』→(tita tani)→(tya tan)
『北(kita)』は、『き(KI)』から『ち(TI)』への変化形で、『北(tita)』になります。
『谷(tani)』は『に(NI)』が『ん(N)』に変化して『北谷(tita tan)』となります。

連続音の統合

『北谷(tyatann)』の最終変化です。
(tita tan)→(tia tan)→(tya tan)
(tita tan)の二番目の(t)が消えて(tia tan)とすっきりした発声になって、連続する『た行』が統合されています。(その他の変化形:連続音の統合) このように「うちなー口」では繰り返しの音をすっきりとまとめてしまう傾向があります。

前に『あ(A)』がある『わ(WA)』の(W)が消える

(okinawa)→(utinawa)→(utinaa)
前に母音『あ(A)』があると『わ(wa)』の(w)が消えて『あ(a)』に変化します。

『り(RI)』が『い(I)』に変化

山登り (yama nobori)→(yama nubui)
『り(RI)』が『い(I)』に変化して、(nobori)の『り(ri)』が『い(i)』になる。

二重母音の統合

こんにちは=御免候え= 免候え (men sorae→men sore)
『あえ(ae)』と母音の連続した場合、母音『え(e)』だけになる。

 

沖縄方言(うちなー口)の解説

ちゅらさん (tiyurasan→tyurasan)

うつくしい人=清らさん
(kiyorasan→tiyurasan→tyurasan)のように変化しています。
『き』から『ち』への変化形と母音変化です。

ちばりよー (tibariyo)

頑張れ=きばりよ
(kibariyo→tibariyo)
『き』から『ち』への変化形のみです。基本的な変化なので分かりやすいですね。

ちゅらかーぎ (tyura ka-gi)

美人= 清らかな面影=清ら影
(kiyora kage→tiyura kagi→tyura kagi)。
『き』から『ち』への変化形と母音変化です。音の変化の過程を考えると面白いですね。

めんそーれ (men sore)

こんにちは=御免候え= 免候え
(men sorae→men sore)
もとになった古語が省略形ですね。
そこから(sorae)の二重母音が(e)の単母音になっています。(※母音の連続は、母音『え(e)』だけになる。)

ぐぶりーさびら (guburi-sabira)

失礼します= ご無礼し侍ら
(gobure→guburi)+(sihabera→s(ih)abira→sabira)
『ぐぶりー』は母音変化の基本形です。
『さびら』の部分は『古語の転訛』と『は行』の省略形になっています。
しかも、『さびら』の『さ』の部分は、『は行』の母音が残り(siha→sa)になっている変化形です。
『さびら』の『びら』の部分は(bera→bira)と基本的母音変化です。

うにげーさびら (unige-sabira)

お願いします= お願いし侍ら
(onegai sihabera)→(unigei sabira)→(unige sabira)
(onegai)から(unigei)への変化は基本的母音変化です。そして、(unigei)→(unige)は二重母音の統合となります。
『さびら』の部分は『ぐぶりーさびら』の『さびら』と同じ変化です。

にふぇーでびる (nife-debiru)

ありがとうございます= 二拝で侍る (nifai de haberu)
先ず、『二拝』の元の発音は(nihai)ではなく(nifai)からの母音変化で(nifai→nifei→nife)となります。
『で侍る(de haberu)』は『は行』の省略形と母音変化で(de biru)となります。

てぃーだ (ti-da)

太陽= 天道 (tendo)
(tendo→tinda→ti-da)
『てん(ten)』は基本的な母音変化形で『てぃん(tin)』となりますが、『ん(n)』の音がなくなっています。

母音変化の基本形では『ど(do)』が『どぅ(du)』なりますが、ここでは、母音の例外形3で『ど(do)』が『だ(da)』になります。どうですか、『てぃーどぅ』よりも『てぃーだ』こちらの方がすっきりしていますね。

やまぬぶい (yama nubui)

山登り (yama nobori)→(yama nubui)
基本的な母音変化で、(nobori)が(nuburi)になる。
『り(RI)』が『い(I)』に変化で、『り(ri)』が『い(i)』に変化して(nubui)になる。

ゆいまーる (yuima-ru)

共済= 結い廻る (yui mawaru)→(yui maaru)
前に『あ(A)』がある『わ(WA)』の(W)が消えているだけの分かりやすい変化です。
結いつながって、皆で一つになり、順番に回って助け合う友人・知人同士の共済制度の意味です。沖縄の生活に密着した言葉で、知っていると便利ですね。

わかむん (waka mun)

若者 (waka mono)→(waka munu)→(waka mun)
これも母音変化で(mo)は(mu)と変化します。(no)は『の(NO)』が『ん(N)』になる変化形で、
(n)となります。

なちゅん (natyun)

泣く (naku)→泣くん(nakun)→なちゅん(natyun)
四国方言を知っている方だと「泣くん(nakun)」からの変化だと分かります。
『か行』から『た行』への変化形で、(nakun)→(natun)となりますが、最終的には、母音変化の例外形2(「つ(TU)」は『TYU』に変化する)で(natun)→(natyun)となります。

かしまさん (kasimasan)

うるさい(人)=かしまし(さん)(kasimasi san)→(kasima san)
かしましさんの『し(si)』の後ろに同じ「さ行」の『さ(sa)』が続くため、『連続音の統合』で前の『し(si)』が消えています。

わじわじー (wajiwaji)

いらいら (煩わしい 煩わしい)→わずわず(wazu wazu)→(wazi wazi)
語源の省略形の繰り返しから、(『ず(ZU)』が『じ(ZI)』に変化する)変化形で(wazu wazu)が(wazi wazi)になります。

如何でしょうか。 ずいぶん「うちなー口」が分かるようになったのではないでしょうか。
言葉は、聞いてみて、話してみてを繰り返しながら上達します。是非、友達の「うちなんちゅ」に「うちなー口」で話しかけてみてください。きっと、楽しい突っ込みが返ってきますよ。

それでは、「うちなーライフ」を楽しんでくださいね。


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佐藤コロ

小さな会社の雑用係・役員

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